日本の空を守る航空自衛隊。当社では航空自衛隊からの依頼により、細かな縫製加工品の開発や製造をしています。
その一つがこれ。(左画像)「HUDカバー」と呼んでいます。HUDとはヘッドアップディスプレイの事で、いろいろな情報が宙に浮いているように表示される装置です。HUDはフレーム以外ほぼガラスでできており、すり傷や汚れの付着は視認性を低下させる原因となるそうです。整備隊の方々は機体内のメンテナンスを行う際は、操縦用のレバー等はもちろん、この部分はキャノピーと共に特に慎重に扱うそうです。僅かな透明部分のすり傷や汚れであっても、パイロットの視界を邪魔してしまうからです。しかしながら整備中の機体は概ねコックピットキャノピーは、諸事情により開きっぱなしの状態となることが多いのだそうです。突然の降雨、最近では中国からの黄砂などの影響により、HUDにダメージが加わる事があるそうです。「ガラス部品は交換すれば元通りきれいになりますが、部品自体は高価なもの。きちんと保護できるものが有れば」と言う声を形にしました。
① 表地:高速吸水機能+導電性能を持たせたAquatrans生地を使用。
② 中身:雨水を保水する超極細繊維不織布+防水性のある薄手の生地を使用。
③ 裏地:コックピットキャノピー清拭に使用している超極細繊維起毛生地を使用。
これをかぶせておけば、内部は傷つきにくく多少の雨が降ってもHUDを保護出来ます。これと前後して、操縦機器系にも同様なことが起こるという事で、同様な素材でカバーを製作しました。
今回の案件は素材の組合せ提案から始まり、採寸、設計、試作を数回繰り返し完成しました。
ほこりや汚れ、雨水による錆発生の防止や、「音速で飛ぶ精密電子機器のカタマリ」である高価な戦闘機の部品を大事に使おうと言う隊員さん達の要望に沿ったものができました。 |